センター概要

大阪大学適塾記念センターの設立

大阪大学適塾記念センターは、大阪大学が創立80周年を迎えた2011年4月1日、大阪大学の新しい部局として誕生しました。

現在大阪市中央区北浜に現存する適塾は、1845(弘化2)年に緒方洪庵が購入した江戸時代後期の町屋で、現存する我が国唯一の蘭学塾の遺構として貴重なものであり、1941年に国史跡、1964年に重要文化財に指定されています。1869(明治2)年に洪庵の息子緒方惟準を院長として設立された大阪仮病院と、オランダ人医師ボードウィンを迎えて惟準はじめ適塾門人らを中心として創立された大阪医学校は、幾多の変遷を経て大阪帝国大学医学部へと発展し、今日の大阪大学へといたっています。
適塾の建物は国史跡指定の翌年の1942年に国(当時の大阪帝国大学)の所有となり、1976年から4年間にわたる改修を経て現在広く一般に公開されています。また、大阪大学・ 適塾記念会 (1952年設立)ではこれまでに緒方家をはじめ適塾塾生の子孫など多くの方々より貴重な資料の寄贈を受けており、学内外の研究者がその保存や研究にあたってきました。

2008年以降、公益法人制度の改革を受け、大阪大学では、適塾記念会と学内組織である適塾管理運営委員会が従来行ってきた適塾の運営・資料保存・研究顕彰事業等の継続と発展の方向を検討してきました。その結果、適塾に関する諸事業のさらなる発展を期すため、大阪学とオランダ学の各研究部門を加え、適塾記念会を組織内に置くかたちで、2011年に改装・耐震改修工事の成った大阪大学会館内(豊中キャンパス:旧大阪大学大学教育実践センター本館、通称イ号館、元旧制浪速高等学校本館)に適塾記念センターを発足させるにいたりました。

適塾記念センターの使命と研究部門

センターはこれまで適塾記念会を中心になされてきた研究・顕彰事業と資料収集・保存、大学が担ってきた適塾の運営等の継続と発展を一層推進してゆく使命を帯びています。適塾は、近世大坂の文化的土壌の上に成立し、そこで育まれ、世界に羽ばたく人材を輩出しました。近世大坂から近代大阪の文化を広く対象とする学術研究は、未来に向けての大阪文化の発展に寄与するものであり、適塾に関する研究を深めることにもつながるものと考えられます。また、適塾で講じられた蘭学は、オランダを通じて我が国にもたらされたものです。現在大阪大学は、オランダのグローニンゲン大学と連携関係を築いており、その関係にもとづいて、センターではオランダからの招聘教員を受け入れ、オランダに関する日本国内の研究教育拠点のひとつとなることを目指しています。よって、大きく分けて三つのミッションを達成するために、センターには「適塾運営部門」「大阪学研究部門」「オランダ学研究部門」が設置されています。学内各部局に所属する各部門の兼任教員とセンターの専任教員が協力し、適塾記念会に対しては学外のアドバイザリーボード委員の意見をいただきながら運営にあたっています。

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