活動日誌
適塾記念会会誌『適塾』47号が発刊されました。
本誌は適塾記念センター・適塾記念会の活動と、適塾および緒方洪庵、その関連分野に関する研究成果等をお伝えするものです。講読ご希望の方は、適塾記念会にご入会ください。
本号に収録された論考は以下の通りです。
巻頭言 改修と地層 永田 靖
―大阪大学適塾記念センターのめざすもの
■適塾特別展示
緒方洪庵・適塾と近世大坂の学知 廣川和花
平成の改修 廣川和花
―歴史遺産を未来へ―
■適塾耐震改修工事
適塾の平成の耐震改修に至る道 江口太郎
■洪庵忌―適塾の夕べ―
基礎医学研究からアカデミア発創薬へ
米田悦啓
近代日本の研究開発体制 澤井 実
■第六回適塾講座
第六回適塾講座の記録 澤井 実
スイスの病院史 ピエール=イヴ・ドンゼ
戦後の外資系製薬企業 竹内 竜介
―日本事業の展開プロセス
日本からみた一九八〇年代以降の世界ワクチン産業の衰退と再生
ジュリア・ヨング
■適塾記念講演会
大坂・京都のキリシタン 岡美穂子
―受容における特徴から―
緒方洪庵の薬箱由来生薬の本草学的意義と東西融合医療
髙橋京子
■第三回適塾見学会
第三回(平成二五年度)適塾見学会の記録
村田路人・福田舞子
■特別展ミュージアムレクチャー
蘭学と洋風画 勝盛典子
―石川大浪をめぐって
ロシア使節プチャーチンの来航と大坂・下田
西澤美穂子
■書評
『種痘伝来 日本の〈開国〉と知の国際ネットワーク』
鈴木晃仁
『歴史における周縁と共生 女性・穢れ・衛生』
廣川和花
■史料紹介・調査報告
新収の村上代三郎関係資料について
福田舞子・二宮美鈴
志士時代の橋本左内(五) 前川正名
謹慎期の漢詩を中心として(二)・橋本左内漢詩研究(十一)
■適塾をめぐる詩と書 第四回
酒を江湖に戒むるは 事 之有り 長与専斎
合山林太郎
■適塾記念会と適塾記念センター
適塾記念会の歩み(その41) 木下タロウ
適塾記念センターの歩み(その3) 廣川和花
1~最新号の目次は、 こちら をご覧ください。
今後ともよりよい誌面をお届けできるよう努めてまいりますので、ご一読ただければ幸いです。
11月26日(水)、大阪大学中之島センターにおいて適塾記念講演会が開催されました。
大阪大学の第一線の研究者お二方から、医の歴史と未来について、それぞれご講演いただきました。
講演1「外科学の新展開―心筋再生治療―」
澤 芳樹 大阪大学大学院医学系研究科教授
講演2「日本中世は呪術からの解放の時代か?―中世仏教の合理と非合理―」
平 雅行 大阪大学大学院文学研究科教授
最先端医療の現場から心筋再生治療の可能性を提示された澤先生、日本中世の仏教と医をはじめとする当時の学問の関連性について展開された平先生、両先生の熱のこもった講演を受け、会場からも多くの質問が寄せられました。
この場を借りて、講師の先生方とご参加いただいた皆様に御礼申し上げます。
11月22日(土)、適塾記念会の会員を対象に適塾見学会〈秋季〉が開催されました。
適塾からほど近くの、くすりの町として知られる道修町をテーマに、少彦名神社の祭礼「神農祭」当日に見学会を行いました。
見学会は、野高宏之先生(奈良県立大学教授)のご講演「江戸時代の長崎貿易と船場」から始まりました。近世における道修町の薬種売買の成り立ちと長崎貿易における大坂の役割についてご講演いただきました。
講演の様子
講演終了後、俵物会所跡を経由し、神農祭で賑わう道修町へ。
杏雨書屋展示室、くすりの道修町資料館を見学後、少彦名神社で解散となりました。
道修町での見学の様子
皆様のご協力のおかげで、スムーズに会を終えることができました。
この場をお借りして、講師の先生、見学地で解説いただいた皆様、参加者の皆様に御礼申し上げます。
適塾見学会は、適塾記念会会員の皆様を対象に、春と秋の年2回開催しています。案内及び参加ご希望の方は、適塾記念会にご加入ください。
11月10日(月)、例年適塾記念会として講座を開講している阪神奈大学・研究機関生涯学習ネット「公開講座フェスタ2014」において、合山林太郎先生(大阪大学コミュニケーション・デザインセンター准教授、大学院文学研究科・適塾記念センター兼任)による講演「政治家・企業人の自伝から近代日本の文学を考える」が行われました。
近代日本の政治家・企業人の読書体験を解き明かし、その研究上の重要性が説かれました。
講演の様子
活発な質疑応答に加え、講座修了後にも、受講者と先生との間で自身の読書体験に関して話し合われるなど、充実した講座となりました。
ご参加いただいた皆様に心より御礼申し上げます。
2014年9月27日(土)、10月4日(土)、11日(土)の計3回にわたり、第7回適塾講座を開催しました。
今年度のテーマは「未知なる江戸の外交史―適塾を育んだ世界との交流」とし、3名の講師の方々にご講演いただきました。
9月27日(土)
「「華夷変態」から蘭学へ―蘭学受容の歴史的前提」
木村 直樹 長崎大学多文化社会学部准教授
10月4日(土)
「未知なる太平洋と日本の開国」
後藤 敦史 大阪観光大学国際交流学部専任講師
10月11日(土)
「アジアとヨーロッパを繋ぐ媒介者たち―蘭学を刺激したヨーロッパ出身者の事情」
古谷 大輔 大阪大学大学院言語文化研究科准教授
コーディネーター
古谷 大輔 准教授(同上)
一般に「鎖国」と呼ばれる状態にあった時代の日本が、アジアや太平洋地域、ヨーロッパとどのような関係を築いていたのかについて、それぞれの最新の研究成果に基づいたご講演をいただきました。講師の先生方、ご参加いただいた皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。各講演の内容は、2015年度に刊行される『適塾』誌に掲載される予定です。
「適塾講座」は、例年9~11月頃にテーマを決めた3連続の講演を開催するもので、適塾記念会会員をはじめ、どなたでもご参加いただけます(要申し込み、参加費は記念会会員優待)。皆様の来年度の講座へのご参加をお待ちしております。