活動日誌

史料が現代に伝えられるまでー史料修復セミナーを開催しました!

2019年10月24日

大阪大学適塾記念センターでは適塾に関連した多くの文化財を所蔵しています。

そのほとんどが100年~150年以上前の史料です。
普段はそうした史料の調査・研究を行い、その成果を雑誌『適塾』や関連事業などで公開しています。
しかし、こうした史料はどのように保存・継承され、研究に活用されているのでしょうか??
今回は2019年10月2日(水)に開催した大阪大学適塾記念センター・大阪大学大学院文学研究科日本史研究室共催史料修復セミナーの様子とともに、その様子を少しだけお伝えします!

この度、今年度の特別展示でお借りした本学大学院経済学研究科経済史経営史資料室所蔵の 尼崎町一丁目の水帳絵図 (屋敷図)をご許可を得て、熟覧、修復する機会を得ました。 尼崎町一丁目(現・今橋三丁目) は、緒方洪庵らが種痘事業を展開した 大坂除痘館 (2代目)や儒学塾・ 懐徳堂 などがあった町です。

今回は経年等で剥がれてしまった張紙を貼り直し、剥がれかけた部分を補修する作業を行いました。剥がれてしまった張紙は元の位置がどこなのかわからない状態になっていましたが、水帳絵図とセットで作られる水帳の情報や虫喰いの跡などを頼りに元の位置を特定しました。

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修復にはでんぷん糊を水で溶いて使用します。現在一般的に使用されている液状糊などは古文書に悪影響を与えるため使用しません。古文書はすべて1点しかなく、一度形状を変えてしまうと二度と戻りませんので、慎重に作業します。

糊とかす

文学部で日本史を学ぶ学生さんも多く参加し、文化財を守り、後世に伝えていく方法や意味について考える機会ともなりました。

ご協力いただいた皆さまありがとうございました!

公式facebookページ では他の画像も公開しています。適塾に関する豆知識や行事のお知らせなどを配信しています!

https://www.facebook.com/TekijukuCommemorationCenter/

↓関連イベント:過去に屏風下張り文書剥がし実習を行いました。
http://www.tekijuku.osaka-u.ac.jp/center/blog/2014/
( 適塾記念センターブログ2014年7月10日分)
http://koborestore.blog.fc2.com/blog-entry-173.html
(レストアさんのブログ)

※画像の無断転載はご遠慮ください。


令和元年度適塾見学会(夏季)開催

2019年7月6日

6月9日(日)、適塾見学会(夏季)を開催しました。

適塾見学会は適塾記念会の会員の方を対象として、適塾や蘭学などの関連史跡を巡る会です。

毎年夏と秋の2回開催しています。

今回は「適塾とその周辺をたずねる」をテーマに、村田路人教授(文学研究科、適塾記念センター兼任)の案内で、大阪にある加島屋本家跡や初代適塾・除痘館跡などを訪れました。

西横堀川

西横堀川跡にて

肥後橋駅周辺から見学会を開始し、初代適塾があった旧津村東之町まで南へ下った後、勝海舟寓居跡などに立ち寄りつつ、適塾へ。途中、2代目適塾のすぐ南にある除痘館跡(2代目)も見学しました。

適塾では、「除痘館記録」、「扶氏医戒之略」などセンター所蔵の貴重史料をご覧いただきました。

適塾内解説

適塾内での史料閲覧の様子

暑い中ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。


令和元年適塾特別展示「北船場地域と適塾・除痘館」開催

2019年6月6日

6月4日(火)より、特別展示 「北船場地域と適塾・除痘館」 を開催しております。

適塾は、天保9年(1838)に、蘭医学研究の第一人者とされる蘭方医緒方洪庵(1810-1863)によって、大坂の瓦町に開かれました。その後、弘化2年(1845)、洪庵は当時の過書町(現・北浜三丁目)に塾を移転します。これが現存する適塾です。また万延元年(1860)年には、尼崎町一丁目(現・今橋三丁目)に洪庵らが開設した種痘(天然痘予防)事業の普及拠点である除痘館も古手町(現・道修町四丁目)から移されます。

書斎1

書斎では、幕末期の適塾周辺の様子がわかる古地図マットを置いています。上を歩いていただけますよ!

本展示会では、かつて適塾や除痘館が存在した 「北船場」 地域の歴史にスポットをあてます。本展示を通して、洪庵や塾生らがどのような環境下で、どのような人々と関係を取り結びながら、研鑽を積んでいたのかを明らかにします。

家族部屋1

家族部屋では、洪庵や塾生らが活動した時期の北船場の歴史と適塾・除痘館の変遷をおっています。

~主な展示品~

①緒方洪庵が過書町(現・北浜三丁目)の町屋を購入した際の史料一式(「永代売渡申家屋敷之事」ほか)

②2代目適塾があった過書町の様子を伝える土地台帳(「過書町水帳」)

③種痘事業の拠点・除痘館(2代目)や儒学塾・懐徳堂があった尼崎町一丁目(現・今橋三丁目)の土地台帳・地積図(「尼崎町一丁目水帳・水帳附図」)

④緒方洪庵自筆の日記(「癸丑年中日次之記」)

⑤塾生福澤諭吉の自伝(『福翁自伝』)

⑥明治期の適塾の門人帳(「紀元弐千五百四拾歳 入門人名録」)

特別展示は6月16日(日)まで、適塾1階において開催しております(10:00~16:00開館、月曜休館)。

皆様のご来館を心よりお待ちしております。


★『新版 緒方洪庵と適塾』刊行★

2019年5月9日

みなさまのご支援により、平成31年3月29日に『新版 緒方洪庵と適塾』を刊行することができました!

新版図録は、旧版図録発行以後の研究成果が盛り込まれ、カラー図版も多く掲載されております。是非ご覧ください。

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~内容紹介~
大阪大学適塾記念会が旧版にあった図録に新資料も追加して新版として刊行する。緒方洪庵の生い立ちと学問、医師として業績と薬の見識、種痘事業やコレラ対策などその全生涯を図版と解説で紹介する。また家族や門下生、明治維新になってからの大阪医学についても触れる。重要文化財適塾の建築物としての価値や、修復改築して新たにわかった写真も公開する。

ご購入・ご注文は適塾(6月4日よりリニューアルオープン)および大阪大学出版会、アマゾン、全国の書店にて承ります。


★大阪大学出版会↓(目次あり)
http://www.osaka-up.or.jp/books/ISBN978-4-87259-675-5.html
★amazon↓
https://www.amazon.co.jp/…/4872596…/ref=ox_sc_saved_title_5…

※大阪大学適塾記念センターは大阪大学の精神的源流である適塾の維持管理や調査研究を行っています。