活動日誌
11月22日(土)、適塾記念会の会員を対象に適塾見学会〈秋季〉が開催されました。
適塾からほど近くの、くすりの町として知られる道修町をテーマに、少彦名神社の祭礼「神農祭」当日に見学会を行いました。
見学会は、野高宏之先生(奈良県立大学教授)のご講演「江戸時代の長崎貿易と船場」から始まりました。近世における道修町の薬種売買の成り立ちと長崎貿易における大坂の役割についてご講演いただきました。
講演の様子
講演終了後、俵物会所跡を経由し、神農祭で賑わう道修町へ。
杏雨書屋展示室、くすりの道修町資料館を見学後、少彦名神社で解散となりました。
道修町での見学の様子
皆様のご協力のおかげで、スムーズに会を終えることができました。
この場をお借りして、講師の先生、見学地で解説いただいた皆様、参加者の皆様に御礼申し上げます。
適塾見学会は、適塾記念会会員の皆様を対象に、春と秋の年2回開催しています。案内及び参加ご希望の方は、適塾記念会にご加入ください。
11月10日(月)、例年適塾記念会として講座を開講している阪神奈大学・研究機関生涯学習ネット「公開講座フェスタ2014」において、合山林太郎先生(大阪大学コミュニケーション・デザインセンター准教授、大学院文学研究科・適塾記念センター兼任)による講演「政治家・企業人の自伝から近代日本の文学を考える」が行われました。
近代日本の政治家・企業人の読書体験を解き明かし、その研究上の重要性が説かれました。
講演の様子
活発な質疑応答に加え、講座修了後にも、受講者と先生との間で自身の読書体験に関して話し合われるなど、充実した講座となりました。
ご参加いただいた皆様に心より御礼申し上げます。
2014年9月27日(土)、10月4日(土)、11日(土)の計3回にわたり、第7回適塾講座を開催しました。
今年度のテーマは「未知なる江戸の外交史―適塾を育んだ世界との交流」とし、3名の講師の方々にご講演いただきました。
9月27日(土)
「「華夷変態」から蘭学へ―蘭学受容の歴史的前提」
木村 直樹 長崎大学多文化社会学部准教授
10月4日(土)
「未知なる太平洋と日本の開国」
後藤 敦史 大阪観光大学国際交流学部専任講師
10月11日(土)
「アジアとヨーロッパを繋ぐ媒介者たち―蘭学を刺激したヨーロッパ出身者の事情」
古谷 大輔 大阪大学大学院言語文化研究科准教授
コーディネーター
古谷 大輔 准教授(同上)
一般に「鎖国」と呼ばれる状態にあった時代の日本が、アジアや太平洋地域、ヨーロッパとどのような関係を築いていたのかについて、それぞれの最新の研究成果に基づいたご講演をいただきました。講師の先生方、ご参加いただいた皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。各講演の内容は、2015年度に刊行される『適塾』誌に掲載される予定です。
「適塾講座」は、例年9~11月頃にテーマを決めた3連続の講演を開催するもので、適塾記念会会員をはじめ、どなたでもご参加いただけます(要申し込み、参加費は記念会会員優待)。皆様の来年度の講座へのご参加をお待ちしております。
2014年9月21日(日)、適塾耐震改修工事完了・再オープンを記念し、大阪大学シンポジウム「適塾 平成の改修~未来へ守り伝えるために」が大阪大学中之島センターにて行われました。
基調講演、座談会ともに、2012年1月から行われた耐震補強計画に携わった専門家をお招きしました。
第一部 基調講演
「幕末期大坂地域と洪庵・適塾」
村田 路人 大阪大学大学院文学研究科教授
「適塾の建築史的・文化財的価値について」
谷 直樹 大阪くらしの今昔館館長
第二部 座談会
「文化財を守り伝えるために」
瀧野 敦夫 奈良女子大学研究院生活環境科学系講師
岩本 馨 京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科講師
西川 英佑 文化庁文化財部参事官付・文部科学技官
ファリシテータ
江口 太郎 適塾記念センター招へい教授
適塾の耐震改修工事に際しては、文化財建造物保存や耐震工学の学識経験者とともに検討を重ねてきました。
今回のシンポジウムでは、これに関わった専門家に、適塾の歴史的・文化財的価値や、今後の保存活動にいかに取り組むべきかについて議論していただきました。
村田教授による基調講演(写真提供:本学広報課)
谷館長による基調講演(写真提供:同上)
座談会においては、会場からも、今回の耐震改修工事で用いた工法や、今後の保存のあり方について質問・意見が寄せられ、活発な議論がなされました。
座談会の様子。左から、江口招へい教授、瀧野講師、岩本講師、西川文部科学技官(写真提供:同上)
また、ロビーでは耐震改修工事に関する解説パネルと、実際に用いられている複合鋼板耐震壁、および仕口ダンパー・耐震リングのカットモデルを展示し、ご来場の皆様にご覧いただきました。
この場をお借りして、登壇者と参加者の皆様にお礼申し上げます。
パネルとカットモデルの展示
2014年5月から6月にかけて、屏風の下張りに使われていた古文書を剥がす作業を行いました。
古い襖・屏風・衝立などは、骨組みの上に多くの和紙を張り強度を持たせています。
当時不要となった反故紙(手紙や帳簿など)が下張りに使われましたが、今となってはこれら下張り文書も貴重な史料です。
作業に入る前。何枚も和紙が貼り重ねられています。
今回は文化財の修復やレプリカ作成の専門家である 工房レストア の平田社長によるワークショップを開催し、本学大学院文学研究科日本史研究室の学生・院生と一緒に、下張りの基本知識や作業のコツを教えていただきました。
下張り文書を剥がす作業中。
ワークショップの様子はこちらでも紹介されています。是非ご覧ください。
片面だけ剥がし終わった様子。残り半分です。
ワークショップの後も作業を継続し、およそ1ヶ月半をかけて、二曲一隻の屏風の下張りを剥がし終わりました。
下張りに使われていた古文書は、適塾関係史料としてセンターで保存し、調査研究に活用していきます。